箕島高校情報経営科地域課題研究班と学んでいる「貧困と格差による地域リスク」。10月26日は、有田市役所福祉相談室による「金銭教室」でした。
コロナ禍は若者の将来も変えた
私たち社協は、2020年3月25日からコロナ感染症の影響による減収者・離職者への特例貸付の窓口をしています。このコロナ特例貸付を通じて、年齢を問わず、たくさんの相談者に出会いました。
途中から、社協だけでなく、有田市役所福祉相談室の相談員の皆さんも対応に加わり、総合支援資金の相談に入ってくれています。
【新型コロナ関連】生活福祉資金の特例貸付に関するご案内
和歌山県社会福祉協議会ホームページより引用
◎これから特例貸付のご利用を希望される方へ
和歌山県社会福祉協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響で休業や失業等により減収し、生活資金でお困りの世帯に、生活福祉資金(緊急小口資金・総合支援資金(生活支援費))の特例貸付を実施しています。
※申込受付期間 令和3年11月末まで
※申込受付 お住まいの市町村社会福祉協議会
(和歌山県社会福祉協議会では申込受付を行っておりません。)
※申込みに必要な書類等については、下の表をご確認ください。申込書等の様式は下の表からダウンロードしていただくか、お住まいの市町村社会福祉協議会で入手できます。
借入申込みにあたっては、まず、お住まいの市町村社会福祉協議会にご相談いただきますようお願いします(土、日、祝日除く)。
※令和2年10月1日以降、一部取扱いが変更となりました。
①総合支援資金の借入申込にあたって、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援事業の利用が必須となりました。
②新型コロナウイルス感染症の影響で減収したことを証する書類の提出を求める場合があります。
詳しくはこちらから→ https://www.wakayamakenshakyo.or.jp/
このコロナ特例貸付は有田市だけでなく、全国で実施されています。
私たちはいろんなケースを目にし、共有してきました。その中で、若い世代の方も様々な事情でお金に困っていることを知りました。
社会に出る前に制度を知る機会がなく、困窮状況に陥ったと思われる人もいました。そこに携わる中で、金銭教育の必要性を感じるようになり、今回、箕島高校の課題研究授業で、福祉相談室の皆さんにお願いして実現しました。
18歳になったら考えてほしいとこ
講師の相談員さんは保健師として従事されてきたので、有田市の子なら健診等でみてきたので、お名前を聞くとだいたいピンとくるそうです(すごいですね)。
そんな小さいころから見守ってきた高校生たちに言いたいことは、
「18歳を超えたら、一人で生活できる覚悟を親子ともに持つことが大事」。日本は家族によって支えられてきた面も逆に縛られてきた面も大きくあります。これからの親は、自分の老後も自分でやりくりできるように金銭計画を立てていく必要があり、そのためには子どもたちも経済的な自立が必要だということでした。もちろん、それぞれの家庭の事情で18歳までにもしんどい人生だった人もいるかも知れません。でも、18歳からの人生は自分で切り拓いていくことができるんだと強く話してくれていました。
進学・就職・結婚は、どれもご縁と弾みとタイミング。人生は誰と出会うかで大きく変わると、素敵なエピソードを添えて話してくれていました。
生きていくためにはお金が必要
何事も基礎となるのは「健康」であり、きちんと食べること、正しい生活習慣を身につけることが第一。「健康」があって働いてお金をもらうことができるのだからと話されていました。
相談員さんは、生徒たちにこんな質問をしました。
「お米5㎏はいくらぐらいか知っていますか?」
主食がいくらぐらいで、月に何㎏いるか、この感覚は持っていてほしいとのこと(女子生徒がいい線の回答を出していました!)。
家賃は給料の3分の1程度にすること、貯金は給料の1割程度、税金や社会保険料は18%程度必要という話もしてくれました。
こんな話をしていると、1人の生徒が「火災保険は入っておくようにと母から言われています」と教えてくれました。こうしてご家庭の中で、社会に出て必要なことを話してくれていると頼もしいですね。
また、その日は健康保険証も持ってきてもらい、健康保険に種類があることや、働き方によっては社会保険に加入できないこともあることなどもお話いただきました。
国民年金については、「年金って、私たちの世代はかけてももらえないかも」という高校生の本音も出ました。私たち支援者は障がいをもつと働けなくなる可能性もあると心配します。そうなると、障害年金が生活を支えてくれます。但し、それは年金保険料を納める又は免除の手続きをしているなどの条件が必要ですので、不測の事態に備えることも考えてもらえたらと思いました。
自分で選択できるように
生徒たちも保険などは難しいと素直に感想を言っていました。でも、今後の人生では、自分が判断して選択することばかりになります。多様な選択肢をもつためには、自分自身で知ることが大事です。今回の授業をきっかけに、この先の人生で自分が叶えたいことにはお金を含め何が必要かと考えてもらえたらと思います。
相談員さんは、18歳のこの時に、じっくりと親御さんや信頼できる方と自分の将来について話し合ってほしいと話されていました。そばにいる時でないとできないこともあると、それはきっとご自身の経験からのお話だろうなとお聞きしました。
もちろん、お金だけあれば生きていけるわけではありません。支えてくれる人の存在や、目標なども人生を豊かにしてくれるものです。どれかがあればいいという極端なことではなく、どれも「ふだんの暮らしをしあわせ」にする大事な要素だと心に留めておいてほしいと思います。