11月から糸我小学校6年生と5回にかけて学んできたことをご報告します。
校長先生とのお話で、糸我小学校6年生と福祉学習をするようになって何年ですかと問われました。今の校長先生を含めて、4人の校長先生とお話してきました(確認したら2013年からでした!)。

道徳の授業をきっかけに

担任の先生と今年のテーマを何にするかという話し合いをした際に、実は6年生は「道徳」で認知症について学んだことをお聞きました。そこで、その教材を読ませてもらい、もっと深めてはどうだろうと提案しました。
本来なら、これまでのように認知症対応グループホーム等との交流学習をしたいところ、コロナ禍なのでそれは叶いませんでした。

そこで、自分たちの周りの大人が認知症についてどう思っているのかを知ることで、自分たちにできることを考えるという目標設定を行いました。

ワーカーの導入授業では、福祉は介護や高齢者だと思うという子どもたちに対して、「ふ」だんの「く」らしの「し」あわせであると伝え、子どもたちを含め、だれの暮らしもそうであってほしいということをお伝えしました。
初回のめあては、自分たちの認知症のイメージを知ること。詳しく学ぶ前に自分たち自身が認知症についてどのようなイメージを持っているのか、話し合ってもらいました。

不安や心配というのは、当事者ではなく自分たちがという意味だそうです。マイナスイメージがたくさん出されました。

子どもたちがマイナスイメージを出してきたことを受け、その状態で、認知症の人と共に「ふだのくらしのしあわせ」を感じながら暮らせるかな?という問いかけをしました。

保護者と教員へのアンケート

授業が始まる前に、保護者・教員の皆さんにグーグルフォームを使って認知症のイメージ調査にご協力いただきました。子どもたちの教材になるということで恐らく全家庭が回答くださいました、お忙しい中ありがとうございました。

最後の質問では、ご自身が認知症になったらどんなことが不安かをお聞きしました。

子どもたちはこのアンケート結果をじっくりと読み込み、気づいたことを出し合い、まとめていきました。
・子どもも大人も認知症の人と接したことがない人が多い
・認知症を知らないから不安になるのかも知れない
・認知症になったら、医療や介護のサポートを受けながら今まで生活してきた地域で暮らせるという回答は、認知症のイメージでも、認知症になった時の暮らしの希望でも最多だけれど、20%ぐらい希望の方が少ない。
 この3つ目の気づきについて、何でかな?と一緒に考えた班もありました。

子どもたちは自然と床に模造紙を広げ、役割分担をして意見をまとめる作業を進めていきました。その様子から主体的に学んでいることを感じました。

家族に負担をかけたくないから、施設を選ぶ人が増えるのかも知れないと考えた班もありました。どうしてそう思ったのかと、踏み込んで考えることは相手を思いやることにつながると感じました。
そうして子どもたちは、今の自分たちにできることは、学んだことをちゃんと家族に伝えることだと答えを出しました。

データを読むというのはとても難しい作業ですが、社会ではたくさんのデータに基づいて商売をしたり、しくみが作られていることをお話ししました。学校での学びは社会につながっているのです。

家族に伝えたいこと

子どもたちが家族に伝えたいことの一部をご紹介します。
・認知症の人が一番不安だということ。
・周りの接し方で認知症の進行はゆるやかになること。
・そのためには、笑顔で優しい口調で話したりすること。

子どもたちなりに、認知症について理解していると感じる言葉が他にもたくさん並んでいました。また、振り返りではとても大事なことを書いている子がいました。

私も(認知症に)なったら、誰かに助けを求めていきたいです。

この思いはとても大事です。誰かが助けてくれるという信頼があって言えることだからです。共に生きるということは、助ける側に立つことも助けられる側に立つこともあります。声をあげられずに自分自身を追い詰めるのではなく、誰かを頼っていいと思える社会であってほしいと改めて思いました。