コロナ禍における避難で問われるのは、「密を避けること」。
でも、公的な避難所はそれほど数がありません。
そんな課題を解決するにはどんな方法があるのか…。

今朝、有田市の野自治会が新たな取り組みをされたので参加してきました。
野自治会は、有田市内で唯一民間企業の建物を一次避難所として使用するための協定を結ばれています。
協定は有田市・自治会・企業との三者契約です。

自治会長兼民生委員である会長が、水害被害に遭った経験のある野地区の避難所が地点によっては1km以上先にある小学校であることに不安を感じておられました。
そのため、地区内にある2つの企業の建物を使用できるように協定を結ばれました。
今日は、昨年11月に新たに協定を結んだ「トーヨーカネツ」までの避難訓練を行われました。

例年9月に一斉避難訓練がありますが、今日は高齢者避難訓練と位置づけ、老人クラブが中心になり、自治会と協力して行っていました。

社協職員がお誘いを受けたのは、昨年一緒に取組んだ「緊急安心カード」のその後を見守るためでもあります。
これは野地区見守り隊を窓口に、自治会に緊急連絡先や主治医、ケアマネ等、医療情報などを事前に登録しているしくみです。登録者には自宅用と携帯用の緊急安心カードが配付されます。
そして、避難訓練にはそれを携帯していきましょうと声掛けをしていました。

最初にあった老人クラブの役員さん
「見てみな!ちゃんと着けてきたで!」とカードを見せてくれました。

ちょっと嬉しい瞬間でした(笑)。

ここから、新しい避難所へ移動してみると、受付ではコロナ対応をされていました。

入室前に検温です。
「歩いて来たから高くなってるんちゃうの?」と話しながらピッとしてくれました。

また、受付には消毒液がおかれ、チェック表に沿って回答します。

ここで、緊急安心カードのチェックがありました。
逆に考えると、登録者名簿があるので、だれが避難できていないか、していないかを確認できると感じました。

既存の避難所(地区内の会館)はそれほど海抜は高くないので、屋上へ逃げられるように行政に相談し、柵をつけられたそうです。
そして、今日見学に伺ったこちらの建物は、屋上に出れば海抜10m以上あるということで、実際とてもいい見晴らしでした。

2階には普段昼食会場としている広いホールがあり、そちらへ避難しても十分な海抜があるそうです。

そして、心強いのは備蓄食料が置かれていること。こちらは一次避難所なので、飲料水と保存食ですが、それぞれ1,100本と600個以上を3年サイクルで交換しながら整備していくそうです。

ただやはり緊急停止することもありますので、今年度は、社協主催の地域協働促進会議と協働して、この地区で車いすの方を階段で上げる方法や介助の仕方等を学べる講座を行いたいと考えています。
また、避難に対して配慮が必要な方の具体的な支援計画についても、モデル的に作成できるようにプロジェクトを考えています。

こちらの自治会の取組は、避難する場所を近くに確保したいという思いで始められたようですが、結果として今必要とされている「分散避難」という新しい形に対応できるようになりました。
今日は、避難訓練というよりは避難散歩。
コロナ対応として一斉では密になるため、まずは、この避難場所を住民に知ってもらうことも目的にされていました。
こうした取組を市内で広めていけたらと思います。
明日は、昭和28年に起こった大水害の日です。「7.18水害」を前に、改めて防災を考えるよいきっかけとなりました。

地域に呼んでいただいて、今日も初めてお会いする方にいろんな話をお聞きすることができました。
社協もコロナ対応に注意しながら、地域へ出ていくことを続けたいと思います。

今日の感動をひとつ。

高齢者は意識が高いのか、こうしてリュックサックを背に参加されている方がたくさんおられました。
見習っていきましょう!