箕高生による高齢者訪問は本日でラストを迎えました。
そのラストを飾るのは、高校生の大先輩であり、かつて箕島高校で半年間家政の教鞭をとったことがあるという女性でした。
インタビュー冒頭に、卒業アルバムを出してきてくれ、みんなで拝見しました。

63年前の卒業アルバムです。歴史を感じます。
表紙をめくると、その当時の箕島高校が現れます。

みんなで「え~~~っ!?」と声を上げました。
これ、今と同じ場所に建っているとおっしゃるのです!
信じられません。何にもないではないですか!
周りは田んぼばかりで畦道を通って通学したとおっしゃっていました。

正門です。校舎自体は建て替えられたとのことですが、どんな高校生たちが通っていたのだろうと思っていると、たくさん面白い話を聞かせてくれました(笑)。

ワーカーが一番声を出して笑ったのは、「バッタ」の話。
当時、バッタというあだ名の先生がいらっしゃったそうです。クラスメイトから、周りの草むらから休憩時間に1人5匹ずつバッタを捕まえる指令が出され、それに従った同級生たちが捕まえてきて、バッタ先生が入ってきた途端教室にバッタを放ったそうです。
ご自身は計画に参加はされなかったそうですが、「バッタがバッタバタしてね~」とほんとに楽しそうに振り返っておられました。
現代の高校生たちはちょっと引いていたかも知れませんが、昭和のにおいのする素敵な思い出話だなぁと感じ、私はその光景を想像して大笑いしました。

高校2年生の時には、7.18水害を体験され、その日から9月いっぱいまで宮原の友達の家などへ毎日歩いて泥かきの「奉仕」に行かれたそうです。今でいう災害ボランティアです。歩いてというのが、当時の過酷さを物語っています。須谷地区までとおっしゃっていたので片道6~7kmはあると思います。昔の道はどんな風だったんでしょう?水害の後の宮原町は悲惨な状態だった、よくここまで復興したなと思うと話されていました。

そして、この方は娘さんも箕島高校の卒業生。さらに、何とあの箕島高校春夏連覇の時にマネージャーをされていたそうです。
当時ご主人が商店街の会長をされていたので、春夏連覇を祝して、四国から阿波踊りをしてくれる団体を呼び、本町と冨久町商店街を通るパレードを実施したそうです。その頃はどこへいっても「あの箕島から来たの?」と聞かれ、とても誇らしかったと話してくれました。

印刷業をされていたこちらのお宅は現在廃業されていますが、海南の印刷会社に営業所として貸しているそうです。
印刷業界のIT化も目まぐるしく、最近の新聞広告などを見ると「美術品やな」と感じるレベルだとおっしゃいます。私たち素人は昔の工程や機械の性能が分からないので、どのぐらいすごい進歩なのか分かりませんが、どの業界も同じように進化しているのだと思うと話してくれました。

東亜燃料が出来る前、松林が何千本も続き、どこまで行っても遠浅の、フワフワと布団のような砂浜だったと、港から初島にかけての海岸がとても綺麗だったことを教えてくれました。その海まで箕島から毎日のように歩いて泳ぎに行ったそうです。
その時に、「おたふく豆」を白い布に包み、それを腰に巻いて海に入り、海水でふやけた豆を食べるといい塩梅でとても美味しかったそうです。ここでもビックリな行動に「え~~っ!」と声をあげてしまいました。当時は周辺に工業をするような設備もなく、海はほんとにきれいだったからと笑って話してくれました。

80歳を超えた今も運転をされることもあるそうですが、普段から転んだり、ケガをすることが怖くて以前は筋力をつける教室にも通われていたそうです。それなのに、2か月近く前に高いところにのって転倒され、圧迫骨折をしてしまったとのことでした。
その際、ご主人も身動き取れないところで作業をされていて、何とか携帯電話をとってご近所さんに助けを求めたと言います。そういう意味でも、高齢者は携帯電話をいつも身の近くに置いていた方がいいと教えてくれました。

商店街に住んでいるけれど、小売店が消えていき、買い物に不便を感じていると話してくれました。
車を手放すことを考えると、行きは何とか歩いていけても、買い物を抱えて歩いて帰ってくることを思うと難しいと感じるそうです。
今は娘さんが連れて行ってくれるそうですが、毎日のことに買い物支援は必要なことだと感じました。

最後に高校生に求めることとして、「人には親切に」というお言葉をいただきました。
人に親切にしてもらえば、親切を返す。
そういうことから平和になっていくと思うからと、ご自身が戦争で体験した恐ろしい光景についても話してくださいました。
今の子には今の子なりの苦労があるだろうけど、頑張ってほしいとおっしゃっていました。
たくさん教えていただき、ありがとうございました。

高校生は2月17日に市民の皆さんに発表できるようにまとめ作業に入ります!