久々のワーカーブログです。
風がとても気持ちの良い休み明けです。
そんな月曜日に、今年度からの新しいプログラムをご紹介します。

『福祉教育 新プログラム 始動』

有田市社協が「子どもたちがつなぐ未来への希望 福祉の種まきプロジェクト」を始めたのが平成25年度。
あれから4年間、たくさんの子どもたちや先生にお会いし、また、ワーカーたちは福祉教育についての学びを重ねてきました。
毎年、年度初めに、有田市校長会でお時間をいただき、有田市社協の福祉教育に対する考え方をお伝えします。
今年は、心新たに取り組むことを「有田市社協が目指す福祉教育7」と題して、ご説明しました。

これまで実践してきた高齢者疑似体験は、教育的効果がなかった訳ではありません。
しかし、「なんか高齢者ってしんどくってかわいそうだなぁ」「年はとりたくないなぁ」「手伝ってあげたいです」といった振り返り文があったことも確かです。

2年間、県内の社協ワーカーらと学んできた中に「貧困的な福祉感の再生産」という言葉があります。
わざわざ、授業という大切な時間を使って、私たちが子どもたちに上記のような気持ちを植え付けてしまったのかも知れません。
これについては、大変反省しています。もちろん、たくさんのあったかい気持ちや、尊厳に気づくなど、とてもよい効果も感じてきました。地域福祉活動計画の見直しと共に、この福祉教育の在り方も再度検証し、今日新たなプログラムに挑戦しました。

「対話から知る」というプログラムです。

新しいプログラムを取り入れてくださったのは、保田小学校6年生。

1.高齢者に対する「よいところ」「困っているところ」というテーマでイメージを出し合います。
  (これは出前授業までに済ませています)

2.地域で暮らす高齢者や、校区にある施設で暮らす高齢者に学校へ来ていただき、前回の授業で出し合ったイメージが合っているのか、直接インタビューして確認します。

3.地域の今と昔のデータをもとに、その暮らしぶりなどを聞き取ります。

4.班ごとに、インタビューした高齢者がどんな方なのか、まとめて発表します。

結論から言って、授業にとても活気があり、お互いにいろんなことを学べていたように思います。
こちらの意図に対して、もう少しプログラムの修正は必要ですが、子どもたちの対話する力や、聞く力に感動しました。

では、大変前置きが長くなりましたが、その様子をお写真でご紹介しましょう。
表情を見ていれば、真剣さが分かると思います。

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まずは、アイスブレイク。
文字ばかりのカードを並べ替えて文章をつくります。これが、なかなか難しい~((+_+))

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5班中1班だけが正解!ひらがなだけって難しかったよね。

ご覧ください。前の授業で出し合ったイメージです。圧倒的に「困っている」方が多いですよね。

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インタビュー中の子どもたち、高齢者ともにとてもいい顔されてますよね。

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どの班も、上手にまとめて発表してくれました。

ここで、聞いていたワーカーも思わずメモした昔話

「昔は男と女が共に学ぶことはなかった。学校も違ったし、例えば、列車に乗って通学する場合、前2両は男の人、女の人は後ろの車両と決まっていた。」

「水害の後、食べるものにとても困って、ウサギを育ててそれを試験場の方に買ってもらった。その1匹120円が貴重なお小遣いだった。着るものにも困り、羊を育てて、その羊毛で自分の服を編み、半分は売ってお金に換えた」

「バナナや卵はめったに食べられない貴重な食べ物だった」

「有田川でエビやウナギを釣って、それを家で食べた。ヤマモモをとっておやつにしたり、家で飼っていたにわとりを親が絞めてくれたときが一番のごちそうだった。」

「給食を食べた経験がない」

「若い頃、恋をしたことがない」

もう、ほんとに「へぇ~」というボタンがあれば連打したいぐらいの気持ちでした。
参加された高齢者からは、家で孫に話してもきちんと聞いてもらえないこともあるけど、今日はみんな興味を持って聞いてくれてうれしかったとおっしゃっていました。

こうした対話から、その方の生きてきた様子が分かり、今のその方についても知ることができます。
班別に、インタビュー内容を発表し合うことで、違う方の人生や人柄に触れることもできました。

高齢者とひとくくりにイメージし、困っていることが多いだろうと勝手にイメージしていた子どもたち。
でも、実際はとても楽しそうに、笑顔で生き生きと暮らされていることが分かり、イメージが変わったそうです。

みんなちがってみんないい
金子みすずさんではありませんが、地域の高齢者も、子どもたちも、障害があっても、みんなそれぞれ地域ではいろんな役割を持ってくらしているのだと思います。
そして、今日参加された方々の中には地域で見守り活動をされている方もいます。これからも自然とつながりができることでしょう。
自分の家の子どもや孫でなくても、子どもたちは地域の財産としてとても大切な存在であることもお伝えしました。

学校の授業としても、この後交流会を計画してくれています。
疑似体験だけでは、勝手なイメージを抱かせてしまっていましたが、今回のように対話することで新たな発見がありました。
高齢者の方々は、「毎日学校へ行きたい!」なんておっしゃってましたよ(笑)。

有田市社協は、あらゆる事業に福祉教育を横ぐしとし、地域での多様性や共生について考える機会をつくっていきます。