箕島高校課題研究班の生徒たちと、有田市役所福祉課の担当者から「生活保護制度」のしくみと現状について教えていただきました。

 生徒たちは先週の授業で、生活保護について事前学習を済ませています。そこで、お話を聞く前に、勉強して思ったことを教えてもらいました。

「お金がないと言えばもっと簡単にもらえるものだと思っていた。なんか大変だと思った」「ハードルが高い気がする」

 制度自体を勉強すると、確かにそのように感じると思います。ましてや、まだ一人暮らしの経験もない高校生ですから、イメージするのは難しいと思います。

ご紹介してくださったマンガ本「健康で文化的な最低限度の生活」
箕島高校の図書館にも入る予定だそうです。

      高校生が相手だからと、市役所担当者も入りやすい素材から教えてくれました。2018年にドラマ化された「健康で文化的な最低限度の生活」(主演は吉岡里帆さん)の原作です。放送当時は中学生だった生徒の中にも視ていた方もいました。このタイトルが憲法第25条の条文で、これに基づいて生活保護法があるとお話してもらいました。

 生活保護の仕組みは非常に複雑です。生徒が中身まで細かく理解する必要はないと思っています。ただ、この1年間「貧困と格差」をテーマに学ぶうえで、最後のセーフティネットと言われる生活保護は知っておく必要があると考えました。

 実は、2時間の間に休憩を挟んだのですが、生徒たちの学ぶ意欲があり過ぎて、休憩だというのに質問が止まらず、最後はみんなに「もう休憩にしよ!」と言って笑ってしまいました。

 文化的ってどういうことだろう?スマホはいいの?車はダメでも単車はいいの?それってどの範囲まで?もし宝くじで当たったらどうするの?高校生らしい質問ですが、結構いいとこついてくるなと思いました。文化的という基準は時代によって変わっていくんだろうねとみんなで話しました。

 他にも、お金の使い方がうまくない人には、誰かがそれを教えてくれるんですか?という質問も出ました。そういった場合の相談を受ける他の制度についてもお伝えしました。

 割とワイワイと話し合いをしてきましたが、最後にワーカーから1つの記事を提供し読んでもらいました。お時間があれば皆さんも読んでみてください。

NHK事件記者 取材note『ひとり、都会のバス停で~彼女の死が問いかけるもの』https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/kishanote/kishanote15/?fbclid=IwAR0VS1up2AEjQj7JTs8WiIDQU9SW5NkvEzzZiPUUbDih_R7xniKD3B6Arrc

 昨年11月に路上生活者の女性が殺害された事件の取材記事です。生徒たちが生きている同じ日本で起こったこと、なぜ彼女は路上生活を続けたんだろうか。誰も声をかけられなかったのだろうか。制度があっても使われなければこういう結末もあることなどをお伝えしました。

 生徒らの顔つきが変わりました。授業後のまとめの作業で、自分がどう感じたのか、また言語化してくれることを期待しています。