6月13日の中学1年生に対する授業の様子をお届けします。
有田市内の3中学校は、今年度入学した生徒が3年生になるときに、1校に統合されます。そのため、統合に向けた生徒の関係づくり、学びの均衡化を図ること等を目的に様々な機会を合同で行っていくようです。
その一つに、「総合的な学習の時間」は3校同じカリキュラムで取り組まれます。それに社会福祉協議会が参画し、中学生と社会福祉協議会の協働プロジェクトと位置付けられています。プロジェクト名は「ゆうわプロジェクト」。新しい学校名「有和」にかけて、生徒たちや各校の特色が融和されてひとつになっていくイメージが思い浮かびます。ゆうわプロジェクトは長期的な計画で進みます。
多様な視点と共に生きるという視点
この授業のために、昨年度から何度も会議を重ねてきました。多忙な中学の先生方が時間を合わせるだけでも大変なことですが、生徒たちのために何度も協議してきました。新しく誕生する「有和中学校」の生徒像も考えながら、どんなことを共に経験し、現段階でどんな視点を身につけることが必要なのかを話し合ってきました。
中学生になれば、地域に貢献できる人材になってほしい。そのためには、地域の課題を知り、その課題を自分事と捉えられることが必要ではないか。
ということで、「ふくし」の視点から、自分の暮らしを考え、周りの方に関心を寄せることから、生きづらさを抱えている人たちがいないか、こんな風になったらもっとみんなが暮らしやすくなるのではないかと考えを進めていってもらう予定です。
この時、ワーカーが考える視点として伝えるのは「ふくし」。「福祉」と漢字で表すと制度やサービスなど対象を限定した福祉感が強まることが多いです。「ふ」だんの「く」らしの「し」あわせと伝えることで、「ふくし」は毎日の「わたし」の暮らしの中にあることだと理解してほしいと願っています。
それぞれの学校から出された「福祉」のイメージ
ワーカーが授業に入るまでに、各校で同じ内容の授業を行いました。
小学校までたくさんの地域の方にお世話になってきた子どもたちですが、「福祉」という漢字をみて思い浮かべる言葉はさまざま。同じものを見てきても心に残ることは別々であり、こうして多様に成長していくのだなぁと感じました。
出されたイメージには、「介護」「高齢者」「障害者」「病気」という予想通りのものから、こちらが想起してほしい「人権」「思いやり」「幸せ」「生活」など、より広義なイメージもたくさん出されていました。正直な話、専門職でも「福祉とは」と面と向かって問われると、ちょっと考えてしまうかも知れません。こういう質問は、哲学的でお互いの価値観を感じ取れる時間になるだろうと思います。
そして今どきなのは、各校パソコン内のジャムボードを使って作業していました。もはや模造紙の時代ではないのですね。
初めての合同オンライン授業
そのような授業を経て、ワーカーが出前授業を行いました。各校から出されたイメージについて確認したり、こちらにいただいた質問にお答えしました。
授業内容自体は珍しいものではありませんが、大きく違うのは『ハイブリッド型オンライン授業』であったことです。
ワーカーがお邪魔したのは、事務所最寄りの文成中学校です。そこにモニターと電子黒板が配置され、1台に授業資料を映し、もう1台は箕島中学校の4教室、保田中学校の2教室、文成中学校の教室の様子が映し出されています。
いやぁ、どこを向いて喋ればいいのかと迷う感じがお分かりになるでしょうか(笑)。
すごい時代になったものです。まだ、環境的な課題はあるものの、教育の在り方も多様になっていくことを実感しました。
中学生が考える地域課題
ワーカーの授業では、有田市社協が「第3次地域福祉活動計画」策定にあたり重点課題と設定した内容を説明しました。
1.つながりの希薄化
2.当事者の課題共有
3.情報発信
4.共助のための担い手不足
これらには、いろんな背景があること、その背景を生徒たちの年代に近づけて話すことで、自分事として考えてもらえるように努めました。
この後は、この課題についてどんな背景があるのかを考え、地域の方や当事者の方へのインタビュー等にチャレンジします。そこから、解決方法や自分たちが貢献できる形を探していきます。
子どもたちの学びのために、先生方も話し合いを重ねながら進めていきます。社協としても共にその学びを支えられるように取り組んでいきます。