今年度、保田中学校3年生の家庭科と総合的な学習の時間について、社協がコーディネートに入らせていただいています。
家庭科のテーマは「共生社会における中学生の役割」。地域社会と自分の関係性について家庭科でも考えるそうです。そこで「防災」をテーマに立場の違う方とお話をすることを提案し、市教委のコミスク担当者と一緒に授業協力者をマッチングしました。
災害時についての意識
家庭科では、生徒と協力者がグループになり、防災に関するテーマカードに沿ってお話を進めました。ワーカーも一つのグループに入らせてもらいましたが、生徒たちが普段接することのない高齢者や障害のある方が被災した時のことは想像が及ばないようでした。そして、話の中で出た「災害ボランティアセンター」については、グループ全員が知らないと答えました。
ワーカー自身も気づきを得られる貴重な機会となりました。
災害ボランティアを知ってもらいたいなと感じたことから先生とご相談し、総合的な学習の時間で防災学習を行いました。
被災するってどういうことなのか
家庭科の授業の後、6月2日の大雨により保田中学校区も被災した地区がたくさんありました。防災授業はそんな経験の後、6月22日に行われました。
和歌山県災害ボランティアセンター所長南出さんを講師に迎え、災害ボランティアのことや、これまでの被災地支援で出会ってきた被災者の言葉に写真を添えて話してくださいました。そして、被災すると「大切なものをなくしてしまう」ということを疑似体験するゲームを行い、生徒の皆さんにも考えてもらいました。
なんかできることないかな
だんだんと被災することを我がごととして感じ始めた生徒たちに、体験を通じて理解することはできないかと先生からご相談がありました。
保田中学校から自転車で10分ほどにある「さくらんぼ園」は6月2日の大雨で床上浸水の被害に遭いました。
園長先生に当日の様子やどんなことを感じたのか、何に救われたのかをお聞きし、7月15日に控えている「さくらんぼ祭り」を気持ちよく開催してもらうために草抜きボランティアを行ってもらいました。題して、「あがらほっとけないプロジェクト!」プロジェクト名は前述の南出所長が名づけ親です。
たくさんの人に救われた
さくらんぼ園には、発達がゆっくりな子どもたちが通っています。そんな子どもたちにとっては生活リズムはとても大事で、通いなれた園は大切な場所です。被災した時に園長が真っ先に考えたのは「子どもたちが通えなくなる」という焦りと不安だったそうです。
大きな園舎の無残な様子にどうしたらいいかと思っていると、保護者・職員・友人知人とたくさんの人から「なんでもやるで!」という声がかかり始めたと言います。そうして、みんなで必死に片付け掃除をして、1日だけ園をお休みして、再開させました。
その後、床板の目地をもっときれいにしないと、園児の健康被害が心配されるというアドバイスを受けました。呼びかけにより、さくらんぼ園にゆかりのないボランティアも含め66人もの方が集まり、一斉に清掃作業を行いました。たくさんの人に救われたのだと園長先生は話してくれ、そして今日、中学生が園庭をキレイにしてくれ、また私は救われたとおっしゃっていました。
短時間でしたが小さい子どもたちとの交流がとても微笑ましかったです。子どもたちの10歳差がどれほど違うのかがよく分かりました。園児たちの中には大きなお兄ちゃんたちにビックリする子もいたほどです。一緒に手遊びする内にとっても雰囲気よく過ごせていました。
中学生の皆さんが、園児たちにとって大切な場所は、たくさんの人によって支えられ、守られているのだと感じてくれていたら嬉しいです。