6月12日、昨年度からの継続事業である「野自治会の防災まち歩き」をコーディネートさせていただきました。

野自治会と防災について考え行動させていただくようになって3年目となります。自治会の協議員という役割の方が「字」ごとにおられ、1年で交替されます。そこで、毎年協議員を対象に次の目的で行っています。

1.指定避難所「民間避難ビル」の確認
2.まちの中の危険個所の把握
3.「災害時避難行動要支援者」に対する理解
4.自分たちの防災での役割確認

地図を用いて昨年度の発見した危険箇所等の再確認をし、地元議員からは行政による補強予定箇所を説明中

4つの目的はどれも大切なのですが、ワーカーが最も重視しているのが「3」と「4」です。野自治会では「災害時避難行動要支援者」として登録されている方について、各協議員が自治会費の集金時等にお声掛けをし、どのお宅にどんな状態の方がおられるのかを確認しています。普段の関係性があってこそ助け合いの気持ちが育っていくからです。

この会には、行政からも福祉課・防災安全課が出席し、制度の説明等を行っていただきました。

当事者の発する言葉はチカラをもつ

今年度は、その要支援者として登録されているご本人とご両親がこの会に出席されました。とても勇気のいることだと思います。でも、ご両親は「何らかの理由で家を離れていたらこの子はどうなるのか。」その心配は大きく、そんな時に地域の皆さんにお力を貸してほしいという思いで参加されました。

ワーカーは自治会長にお願いをして、事前にご本人宅を訪れ普段の様子などをお聞きしていました。地域の方と接することはほぼないそうです。
災害はいつ起こるか分からないので、普段はどんな生活をしているのかも知っておいていただく必要があるからです。

会場では、ご本人もマイクをもち、ふだんの過ごし方などを話してくれました。その後、ご両親から災害時にどんなことが不安なのか、どういう接し方をしてもらいたいかを語っていただきました。

ワーカーからは、今日この場に来ていただいたのは、地域の皆さんとつながりをもつきっかけを作ってほしかったからだと説明しました。
後ほどある協議員から、地域でやっている会にご本人をお誘いいただいたそうです。やっぱり、きっかけさえあればつながっていけるんですね。

第一は自分の命

協議員の皆さんには、ご自身の命が第一であることは確認していただいています。ただ、洪水であれば、「避難レベル3」は高齢者や障がいのある方などの避難のタイミングであり、ご自身が声掛け可能であればお願いしたいと念押ししています。
支援をお願いする方も、自分のために誰かが悲しい思いをすることは望んでいません。今回は「洪水」想定であるので、早めの声掛けができると考え提案しています。
更に、野地区は独自に「避難スイッチ」を想定しており、自治体の避難レベルの判断よりも早く、高齢者等に対する避難誘導(町内放送)と、民間避難ビルがあるおかげで、自治体の指定避難所よりも早く避難場所を開設することができるからです。

避難場所を地域で確保していく

野地区は、最新のハザードマップでは5~10mの浸水想定であり、浸水継続時間も長いという厳しい想定結果が出ています。しかし、企業が新設した工場を地域貢献として、行政・自治会・企業の三者で民間避難ビルとして協定を結んでいます。
行政が指定している避難場所だけでは、全体をカバーできなかったり、居住地から離れていた李、収容力に課題があることもあります。こうして、各地域で独自に避難場所を確保していくことが広がっていくといいですね。

トーヨーカネツ和歌山工場
こちらの民間避難ビルには、住民用の備蓄品も完備されています。

まち歩きをしながら、みなさんで避難ビルを見学し、来月には地域住民を受け入れる側として、高齢者・障害者・子どもたちを対象とした自治会独自の避難訓練を開催されます。

先日、NHKで全国の洪水ハザードマップを検索できるWebサイトが公開されています。ご自身の地域、遠方にいる子どもさんの地域の情報も一度確認してみませんか?

https://www.nhk.or.jp/campaign/w-hazardmap/